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北京・広州間高速鉄道開通 天文学的な総工費

2012年12月30日

 【新唐人2012年12月31日付ニュース】近日、世界最長の距離とされる北京と広州を結ぶ高速鉄道の試験運行に成功しました。北京と広州を時速300キロ、8時間で結び、これまでの最速の列車と比べ、12時間余り速くなりました。一方、総工費は4000億元もかかり、毎年の利息だけでも数十億元に達し、数十年間赤字が続くだろうと指摘されています。

 
12月26日、北京と広州を結ぶ高速鉄道が全線開通しました。北京西駅から出発し、途中で石家荘、鄭州、武漢、長沙を経由して、8時間後広州に到着。営業距離は2,298km。中国鉄道省は“世界最長の高速鉄道”と大々的にアピールしています。
 
公表された料金表によると、北京から広州まで、最も安い“二等席”で865元、最も高い“ビジネスクラス”は2,727元にもなります。時速200km超の動車なら、二等席で712元です。
 
また、北京・武漢間の高速鉄道の二等席は530元で、動車なら381元。多くのネットユーザーは“乗れない”と悲鳴を上げています。
 
北京師範大学MBA教官 段紹訳さん
「高速鉄道は時間を金に換えるもので、乗客の時間にそんなに価値がなければ、価格を低く設定すると赤字になります。価格が高いと誰も乗りません。今のところ、高速鉄道は上流社会向けです」
 
北京のネットユーザーは、高速鉄道は一般民衆のためのものではないため、高速鉄道がいくら増えても、ますます混みあう普通列車の現実は変わらないと述べます。
 
北京のネットユーザー 王さん
「陳情者は絶対高速鉄道には乗りません。一般の旅行者や帰省者もできるだけ乗らないでしょう。どんな人が乗りたがりますか?公務員や大手企業の職員でしょう。彼らの費用は全て会社持ちで、公務員の費用は納税者のお金です」
 
中国社会科学院経済研究所の徐逢賢氏は、もし価格が高すぎて高速鉄道の乗車率が90%に達しない場合、高速鉄道の運輸状態が良くない状態にあることを表すと指摘します。
 
実際、北京・天津間の高速鉄道は、開通2周年で平均乗車率が70%。北京・上海間の乗車率も2012年の旧正月期間中で70%前後でした。
 
一方、北京・広州間高速鉄道の他のデータにも注目が集まっています。例えば4,000億元近くに上る総工費。その9割が借款で、毎年支出する利息だけでも数十億元に上ります。
 
北京交通大学経済管理学院の趙堅教授は、北京・広州間高速鉄道は建設コストも運行コストも高く、切符の収入だけでは賄うことができず、巨大な赤字が10年、あるいは20年は続くだろうと示します。趙教授によると、現在、中国の全ての高速鉄道が赤字だそうです。北京・天津間高速鉄道だけでも、毎年7億元の赤字を出しています。
 
経済コラムニストの段紹訳(だん しょうやく)さんは、北京・広州間高速鉄道は市場に基づいたプロジェクトではなく、投資と生産性を全く考慮していないと指摘。なぜなら、国有企業は他人の金を使って、他人の事業を行うので、効率が低いのは当たり前だからです。
 
 “湖南日報”傘下の“華声在線”によると、北京・広州間高速鉄道列車に設置された座席の単価は23万元だそうです。2012年2月にはさらに、高速鉄道全体で採用している自動洗面器の単価は7万2,000元、洗面台は2万6,000元、自動水栓は1万2,800元、トイレのティッシュボックスは1,125元であると報道。これらの設備は全て、鉄道部門が指定する業者から提供されるそうです。
 
実際、前鉄道部長・劉志軍と元総エンジニアの張曙光の更迭事件からも、中国鉄道省の腐敗を垣間見る事ができます。張曙光だけでも海外に28億ドルもの資金を蓄え、また、事件には副局クラス の高官15名が関わっていました。
 
広州のネットユーザー 劉遠東さん
「彼ら高官の官僚体制は基本的には官職の売買です。もしあなたが指導者だとしたら、誰かを抜擢すれば良いことがあります。今は友人とか親戚とかのいわゆる社会関係も多くの場合は信頼できません。最も信頼できるのは金銭です」
 
AFP通信は評論文の中で、北京・広州間高速鉄道は中国の高速鉄道建設分野における新たなマイルストーンであるものの、中国高速鉄道の発展にはかつて汚職と事故のスキャンダルも伝えられたと指摘しています。例えば、記憶に新しい2011年7月浙江省温州で発生した追突事故では、40人が犠牲になりました。
 
新唐人テレビがお伝えしました。
(翻訳/松本 編集/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)
 

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